思いつき

『5月27日。晴れ。
 高校の同級生、見舞いに来る。
 君とはなしをする多少。
 今日は良い日だ。      』


B(仮称)が死んだ。
暑く蝉が鳴きやまない日のことだった。
喪服が蒸れて気分が悪かった。
帰り際面差しの良く似たBの弟に一冊のノートを渡された。
Bの日記帳だという。
本当はよくないことだとわかっていたんですが、と前置きをして
兄の日記を読んだんです、と言った。
兄の「君」を探してほしい。と。


大切に思っていた人のようで、
僕はそれが誰かとても気になるんです。


遠くを見るようにしてBの弟はつぶやいた。
それから私に頭を下げた。


Bが死ぬその間際まで。
死んでしまったその後も
間違いなく私はBの恋人なのに。


「君」が私ではないことは
Bの弟の顔を見れば間違いのないことだった。


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仕事があんまり暇でぽやぽや妄想してたもの。
結核とかで人が死ぬ時代で
着物で自宅療養だと心がときめくんだけどなぁ。